11月27日にいちおう初雪が降った。積もらなかった。11月の末にもなると、普通なら少なくとも数センチは積もって赤いリンゴが白い帽子をかぶる。下手をするとリンゴと雪の両方の重みで枝が折れる。しかし、温暖化しているせいか、今年そのあとは雨ばかり毎日続いている。りんごの収穫がまだ残っているので、積もらなくて良いと言えば良いが、異常気象だけはゴメンだ。冷たい雨降りのリンゴもぎはつらい。雪降りのリンゴもぎはもっとつらい。軍手ではすぐ濡れるし、ビニル手袋でもすぐに冷たくなって指が動かなくなる。それにビニル手袋だと雪降りには手の中でリンゴが滑る。いちばん問題なのは、手袋をすると果実の肌の感触がつかめなくなることだ。私たちリンゴ農家は手当たり次第やたらにリンゴを収穫しているのではない。色を見て肌を触って、それで今もぎ取るか残しておくかを一つ一つ判断する。あるいはもぎ取ったリンゴを売り物になる果実とそうでない果実に畑で選り分ける。手袋をしているとこの判断が狂う。もちろん売るリンゴの品質を考えない農家もいっぱいあるが、我が家としてはやっぱり美味しい果物を期待しているお客さんをガッカリさせるわけに行かない。多少冷たくてもできる限り素手で我慢する。それくらい、リンゴの実を手にしたときの微妙な感触は重要なのだ。これがプロフェッショナルというもんかなあ・・・