5月後半から6月にかけての時期は、突然、雹に見舞われることがある。上空に寒気が入ってくると要注意だ。去る5月27夕方、山形県置賜地方のあちこちで雹が降った。我が家の畑あたりは大粒の雨で済んだが、隣町の川西町、高畠町、南陽市で地面が白くなるほどの雹が降ったそうだ。それで、大きくなり始めたサクランボの実やラフランスなどに果実が傷つく被害が出た。サクランボなどは特に傷が付いたらアウトだ。降られたら果樹農家の打撃は非常に大きくなる。しかも降られれば手の打ちようもない。呆然!だ。
10年以上前にもこんな事があった。その時は我が家の果樹にも被害が出た。夕方、まだ5時前だったはずだ。明るかった空一面が急に真っ暗になって雷鳴がとどろき大粒の雨が降り出した。果樹園でリンゴの摘果作業をしているときだったが、たまらず軽トラックに飛び込んで家に逃げ帰った。土砂降りの雷雨だった。自宅で休んでいると、知人から「家の近くは雹で道路が真っ白になったぞ、御前のところは大丈夫か」、という連絡が入った。いやあ、こっちは雨だ、と答えてみたものの、もしや、と雨が小降りになったころ畑の様子を見に行った。空気がひんやりしていた。あった。畑の地面の所々に氷の粒がまだ解けずに残っていたのだ。リンゴやサクランボの葉っぱが破れて地面に散っていた。もちろん果実にも傷がついた。最初は雨だったのが途中で雹に変わったのだった。家の周りはずっと雨だけだったから、まさか畑がこうなっているとは夢にも思わなかった。家と畑は数百メートル離れている。
雹をもたらす雲のかたまりはある幅でもって西から東へ移動していく。そこが雹の通り道になる。その道幅の外側は雹でなく雨が降るか何も降らないか、というわけだ。だから10メートル離れただけで、雹害に遭う畑と遭わずに済む畑の差がでてくるのだ。天国と地獄の境目はそんなものだ。